私はかつて神奈川県の三浦半島、横須賀市に住んでいたことがあります。
横須賀といえば海釣りが盛んな街なのですが、どれくらい盛んかというと、地元の人たちがまず一番最初に趣味として勧めてくるほど最もポピュラーなアウトドアとして親しまれています。
約2年間ほど住んでいたのですが、当時はチヌのヘチ釣りとかショアジギングなども少々ですが嗜んでいました。全く釣れませんでしたけど。
あとはとにかくサーフィンがポピュラーで、米国人の軍人さんなんかもかなり多い街なんです。
どちらかと言うとおしゃれな街というよりかは、郊外に行くと自然が多くて漁師街というイメージの方がしっくりきますね。
前置きはこれくらいにしまして、この大自然が色濃く残る横須賀という地には、この地を除いて関東地方ではなかなかお目にかかることの少ない野生のリスが生息しています。
今回は、私が横須賀に住んでいた時に時折出くわした、可愛らしい小動物のお話です。
もくじ
横須賀の住宅街に現れる野生のリス
私が当時住んでいた場所というのは、横須賀市の中でもかなりの田舎町、三浦半島でいうならちょうど真ん中あたりに位置する山間部と市街地が隣接するエリアでした。
自宅から一番近い最寄り駅は、JRでいうと横須賀線の「三崎口」という駅。
これまた駅までは結構距離があり、自家用車やバスを使って30分くらいかかる意外と交通の便が良くないへんぴな所に住んでいたんです。
幸いにも自宅から職場までの通勤には自家用車を利用していたのですが、当時、結構頻繁に通勤途中に目撃する動物が野生のリスでした。
信号待ちで止まっている時にふっと上を見上げると、電柱や電線などをよじ登って走っているのを見かけたり、細い住宅街にある路地裏を歩いていると、急に2匹のリスが垣根の際から飛び出てきたりと、かなりの滑稽なシーンに出くわすことが多々ありました。
ガソリンスタンドで給油していたら、突然足元を横切りぶったまげたこともありましたよ。。(笑)
もちろん横須賀に住んで初めて見た時は、本当に焦りましたね。
何の事前情報もなしに街を歩いているといきなりリスが飛び出してくるのですから、それはもう驚きですよ。
最初ネズミか何かかなと思ったんのですが、ぱっと見のシルエットでフリフリのしっぽを揺らしながら飛び出してくるもんですから、それはもうクスっと笑うしかありませんでした。
その名もタイワンリス(別名:クリハラリス)
横須賀市内で目撃情報が相次ぐこのリスの正体は、なんと「タイワンリス」という東南アジア原産のリスなんです。
別名、「クリハラリス」とも呼ばれるお腹の部分が栗色なのが特徴の外来種。
住んでいる当時は忙しさのあまり気にも留めていなかったのですが、最近になって懐かしさのあまりちょっと調べてみると意外なことがわかりました。
日本固有の在来種である二ホンリスとは見た目も異なり、個体種にもよりますが、お腹の色が灰色だったり少し赤味を帯びていたりするのですぐに見分けがつくそう。
二ホンリスは、お腹の色が真っ白の毛並みなのですね。
さらに身体の大きさも在来種と比べ大きく、大型のものだと40センチ近くにまで成長する個体もいるようです。
私が出会ったリスは、ほとんどが10センチくらいの小型のサイズの個体だったと記憶していますが、あの子たちは子リスだったのでしょうかね・・・。
とにかくピョンピョンと跳ね回っていて、とっても可愛かったのが印象的でした。
横須賀に住んでいると普通に出会いますよ。
いつ、どこからやって来たのか?
当時出会ったリスちゃん達がいったいいつどこからやって来たものなのか、こちらも気になって調べてみました。
さまざまな諸説があり一概に断定するのは難しいですが、一般的にはペットとして飼育されていたものや動物園から逃げ出したものが野生化したものと考えられているようです。
タイワンリスちゃんのルーツをたどると1930年代頃に台湾から日本に持ちこまれて、その後、江の島や鎌倉地区に居付いた可能性が指摘されています。
1980年代には鎌倉市のほぼ全域にまで分布を広げ、2000年ころになると逗子や葉山といった湘南地区、横浜・横須賀方面でも目撃されるようになったみたいですね。
昨今では、個体数も増加傾向にあるようなので、私が横須賀市に住んでいた当初よりもさらに街中で出会う確率が高まっているかもしれません。
タイワンリスの分布
現在では分布図も変わっているかもしれませんが、横須賀という土地の景観は海があったり山があったりして自然が多い環境なので、比較的三浦半島全域にわたってどこにでも生息しているものと思われます。
一部の地域では除外されるところもあるようですが、例を挙げると三浦地区や衣笠の辺りなど。
長井とか武山の辺りにもいるようなことは、地元の方から聞いたことがあります。ちなみに私が出会った場所は道路上や住宅街の中など、比較的人の出入りが多い場所でした。
タイワンリスは昼行性といって明るい昼間のうちにエサを求めて行動します。
朝の通勤時間帯などに遭遇することが多いですが、彼らも意外と臆病な性格の持ち主なので、ひと目見てみたいという方はひっそりとした路地裏などに行ってみるのもよいかもしれません。
神奈川県以外では、静岡・大阪・兵庫・和歌山といった近畿地方、長崎や熊本といった九州地区など、西日本での分布が広く確認されています。
皆さまの中でも「あっ、このリス見たことある!」っていう方もいらっしゃるかもしれませんね。
タイワンリスは特定外来生物
タイワンリスは、2005年に環境省の「特定外来生物」に指定されています。
近年では農作物の被害が深刻化しており、生態系や環境への配慮から、ブラックバスちゃんと同じようにこのような規制の対象になってしまったのでしょう。
私たち一般の人から見れば可愛らしくて愛嬌のある動物であるようにも感じるのですが、さまざまな被害を被る農家の方たちや関係者の方たちにとっては、厄介者として映ってしまう側面もあるのかもしれません。
リスちゃんは、木に登って樹液を吸ったりすることから剥皮の被害が確認されていたり、電話線や電線をかみ切るといった被害、店頭に陳列している野菜や果物をかじってしまうなどのイレギュラーなトラブルまで、被害報告は多岐にわたります。
神奈川県では、箱根や丹沢地区に固有種の二ホンリスが生息しているとのことですが、今後はタイワンリスの生息域が拡大すれば両者がバッティングし、従来の生態系に悪影響を及ぼしてしまうことも考えられます。
そのため、各自治体では駆除に力を入れているところも多く、あえて外来種に指定することで未届けの捕獲であったり飼育の禁止、持ち運びの制限などの規制を強化し、対策を講じているのが現状と言えるでしょう。
タイワンリスを自治体の許可なく捕獲することは基本的に禁止されています。観光で訪れた際に出会った時は、観察するにとどめておいてくださいね。
「横須賀市」リスの出没まとめ
横須賀は海と山に囲まれ、多少交通の便は不便なところもありますが、大自然が豊富で観光名所も多く、都心から気軽に遊びに行けるとてもよい場所です。
断崖絶壁と地磯の連なる風光明媚なロケーションや、釣りのメッカ「猿島」を目の前にとらえた夕日の沈む光景を目の当たりにすれば、釣り人なら誰もが大海原に向かって思いきりキャストしたくなることでしょう。
城ケ島まで足を伸ばし海鮮まみれのランチを楽しむのもよいですし、逗子や葉山方面まで行ってサーファーが浮かぶ波打ち際でおしゃれな雰囲気に酔いしれるのも良し。
旅の締めくくりで運よくリスちゃんに出会えたなら、あまりの可愛らしさにきっと心もほっこりするはずです。
機会があればぜひ1度、数多くの絶景スポットが待ち受ける横須賀に遊びに行ってみてくださいね!
街中の電線を見上げれば、きっとそこにはトンビかリスがいるはずです・・・(笑)。
以上、神奈川県横須賀市に生息するリスのお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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