私は幼少の頃、ブラックバスを飼育していました。
もう何十年も前の話ですが、当時は外来魚に対する何の規制もなく普通に自宅で飼育することができたので、今となってはバスアングラーにとって夢のような時代だったかもしれませんね。
今回は、当時の飼育の思い出を振り返りつつ、ブラックバスという魚の本来の性格や性質を考えてみたいと思います。
ブラックバスという魚
昨今、ルアーフィッシングの対象魚としてはあまりにも有名ですが、ラージマウスバス・スモールマウスバスともに日本国内で生息が確認されている2大ブラックバスであるのは、すでに知られている事実。
ラージマウスバスは、東北から九州までの日本全国の野池やリザーバー、比較的流れが緩やかな河川に生息しており、対するスモールマウスバスは激流を含む流れが比較的急な河川で、冷涼な地域を好む魚として認知されているようです。
ひと昔前の野池や河川といえばラージマウスバスの生息しか確認されていませんでしたが、現在、私が住む関東地方ではいたるところでスモールマウスバスの生息が確認され、比較的容易に狙うことができます。
大規模河川から小規模河川、場合によっては小さな水路にまで入っていて、少々濁っている水域でも時折混ざりますので、小さな用水路などを通じて生息域を拡大しているのかもしれませんね。
そういった意味ではラージマウスバスに比べ、スモールマウスバスの方が環境に順応する能力が高く、繁殖力が少々高いような気がします。
関東地方では、ここ数年でスモールの生息域が急速に拡大したような気がします。夏になると田んぼの用水路にまで入ってきたりしていますから驚きです。
ブラックバスを飼育するには国の許可が必要
現在は、外来生物法によりブラックバスを家庭などで飼育することは法律で禁じられています。
私が子供の頃は、現在のようにキャッチ&リリースを禁止する条例などというものはありませんでしたし、それこそ普通に釣ってきたバスちゃんを自宅で飼育する人もたくさんいました。
バスちゃんの餌を買いに熱帯魚屋さんに足を運ぶと、生まれたばかりの小さな個体が普通に販売されていましたので、今のように「バスちゃん=外来種・悪者」みたいなイメージもほとんどありませんでしたね。
そのあたりから徐々にバスフィッシングが国内でも認知され始め、芸能人たちもこぞって楽しむようになり空前のバス釣りブームが訪れたような気がします。
2021年現在は、スモールマウスバスの生息が全国的にも拡大している背景もあってか、2015年の「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」によって飼育が困難となってしまいました。残念…。
ですので国に登録申請をして許可を得ない限り、自宅で個人的にバスちゃんの生態を観察するなんて夢のような観察もできなくなってしまったわけですね…。
誠に持って残念としか言いようがありません。
飼育の思い出
私がブラックバスを飼っていたのは、かれこれ30年以上も前の話になります。
当時は四手網(よつであみ)というロープを括り付けた四角い形の網を野池などに放置しておくと、意外と簡単にバスが入りました。
また、熱帯魚店で稚魚を買ってきて60cmくらいの水槽を用意して飼っていたこともあります。
実際、室内で飼育してみると思っていたよりも簡単ではなく、少々気を使う魚であることに気づかされましたね。
エサはお店で買ってきた餌用の金魚を与えていたのですが、水槽に金魚を落とすとバクっと食いついた瞬間に鱗が飛び散り、それが数日積もるとすぐに水槽内の水が汚れてしまうんです。
結構な頻度で水を交換しなければならず、意外なほど労力を使った気がします。
また、バスちゃんは想像していたよりも病気になりやすいんです…。
冬場の寒い時期などは、水槽内のボトムに張り付いたままほとんど動かなくなり、じっとすることが多くなります。
水温が下がったり新しい水に入れ替えたりなんかしたときは、結構な頻度で鱗(ウロコ)に白いカビが発生して元気がなくなり、弱ってしまうことが多々ありましたね。
水カビ病といわれる白い綿のようなものができる病気は、水槽内の栄養素が豊富すぎたりろ過不足であったりとさまざまな要因が重なり発生するそうなのですが、これが結構頻発します。
なので最初は元気に水槽内を泳ぎ回っていても、数日すると弱ってしまい死に至るという飼育の難しさがありました。
ブラックバスは神経質なのか!?
バス釣りでフィールドに足を運ぶと、意外なほど水質が悪化しているフィールドでも釣れたりしますよね。
自然の中で生きているぶんには、多少の水質の悪化にも耐えられるのかもしれませんが、水槽という限られた水の中では、微生物の発生も活発になって生命に支障をきたすことも多くなってしまうのかもしれません。
私が実際に飼育したのはラージマウスバスでしたが、以上のような性質からも非常に繊細でナイーブな魚であり、状況の変化に適応しにくい魚であることを当時は痛感しました。
以前はよく釣れていた魚が翌年になると急に釣れなくなるフィールドがある、なんて話をよく耳にしますが、これもバスが死んでしまったり何らかの水質の変化によるバスの神経質な生態が大きく関係しているのではないかと感じます。
水槽の外から指を動かして目の前にかざしてみただけでも敏感に反応する魚でしたので、性格はナイーブかつ華奢な体質であることが容易に想像できます。
実際のところ、変温動物たるブラックバスは、水温の低下にかなり敏感に反応する魚であることは間違いなさそうです…。
飼育するならオヤニラミがおすすめ
現在はブラックバスを飼育するのは容易な道のりではありませんが、どうしても飼いたいという方はオヤニラミの飼育を検討してみるのもよいかもしれません。
オヤニラミは、中国・九州地方にメインに分布するスズキ目の魚である純淡水魚。東京でも一部の河川では生息が確認されているようです。
肉食性であるがゆえに、バスちゃんと同様に小型の水生昆虫やエビなどの甲殻類をエサとする一方で臆病・かつ神経質な性格の持ち主なので、もしかすると共通する性質がみられて飼育が楽しくなるかもしれませんね。
この魚は熱帯魚店や淡水魚を販売しているショップなどで購入できることもあるみたいなので、興味のある方は調べてみるとよいかもしれません。最近ではネットでも手に入れることができるようです。
ちなみに滋賀県では飼育に許可が必要となるようですので注意が必要です。
最近では川村光大郎プロが飼育している様子が、SNS上で画像としてアップされていて話題を呼んでいるようですね♪
ブラックバス飼育の思い出まとめ
ブラックバスはすぐ病気になってしまうので、意外に飼育が難しかった記憶があります。
当時私が飼育していたころは、餌の金魚などを一気にまくしたてるほどのどう猛さがみられた反面、病気になりやすく、水質や水温の変化に敏感に反応する繊細さ・ナイーブな性質も見られました。
とくにこれからの気温や水温が下がる時期は水質の変化もみられるようになるため、ブラックバス自体の活性も下がってルアーに反応しにくく、釣りづらい時期となります。
もしかすると寒さに耐えきれず、命を落としてしまう個体も少なからず存在するのかもしれません。
変温動物なので、自然のフィールドですと冬眠はしないが仮死状態に近い状態が生まれてしまうといったところでしょうか…。
スモールマウスバスの生態については謎な部分も多いので、今年の冬はシーズナルパターンの研究がてら、また入間川や小貝川に足を運んでみようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
入間川に足を運ぶならこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
昔はブラックバスを普通に自宅で飼育することができました。